2025/04/08 19:14
花まつり
春の風がやわらかく頬をなでる季節になると、町のあちこちで色とりどりの花が咲き始めます。この美しい時期に行われる仏教行事「花まつり」は、お釈迦様の誕生を祝う日本ならではのやさしい行事です。
毎年4月8日、各地のお寺では小さな花御堂(はなみどう)が作られ、その中に誕生仏が安置されます。子どもたちが甘茶を注ぎながら手を合わせる姿は、とても微笑ましく、まさに春の風景の一部のようです。
「花まつり」と聞くと、単に花が咲く美しいお祭りのように思われがちですが、その背景には「命の大切さ」や「思いやりの心」が込められています。花の命は短くても、その一瞬の美しさは人の心に深く残ります。お釈迦様が説いた「生きとし生けるものへの慈しみの心」を、花の姿がそっと語りかけてくれるように思えるのです。
私にとっても、春の花々はただの季節の風物詩ではありません。書道作品の題材にもよく取り入れるテーマであり、花の一瞬の輝きを文字で表すことに、毎年新しい挑戦を感じます。
今年の花まつりは、少し立ち止まって、花を眺め、深呼吸してみてはいかがでしょうか。忙しい日々の中で、自然の美しさや命の尊さに静かに心を向ける、そんな時間があってもいいのではないでしょうか。
花咲く春。心も一緒に咲いていくような、やさしい季節を大切に過ごしたいものです。